SEMICONDUCTOR HEATING ELEMENT
半導体発熱素子
基礎原理
半導体発熱素子は、ゲルマニウム、シリコンならびに金属酸化化合物などの半導体物質を用いてテフロンテープ状に加工したもので、 通電することによって発熱する半導体の性質を応用しています。 半導体と言えば、よくパソコンのCPUなどに使われていますが、今日でも、CPUが発する熱をいかに冷やすかという事が課題となっていま す。この半導体発熱素子は、どうせ熱が発生するのであればそれを利用しよう、という発想の転換から生まれた素材です。
この分野では従来、ニクロム線などの電気熱体が大きなシェアを持っていますが、ニクロム線は、温度上昇と共に、発熱体自身の温度を 上昇されるため、熱暴走(温度が上昇しすぎて壊れるなどの現象)を引き起こす原因となっていました。
しかし、この半導体発熱素子は違います。
この半導体発熱素子は、設定した温度帯(10~200°C)に向けて突入電力なしでスピーディに温度を上昇させ、 設定温度に達し た時点で恒常的にその温度をキープします。加えて、使用条件による温度設定が可能で、使用中に周辺温度(環境温度)が 変化 しても、変化に合わせて設定温度を維持するという非常にスマートな機能を有しています。 しかも、とても小さな電圧(3v~)で直 流と交流のどちらでも対応可能です。
また、AC電源だけではなく、USBや乾電池にも対応していることも用途の幅を広げています。 さらに特徴的なのは、自己発火のない不燃材であることです。フィルム本体からのCO2発生量がゼロであり、地球環境に配慮された素 材であると言えるでしょう。
なお、使用化学物質を規制する「グリーン調達」および「ROHS指令(欧州、中国等)」への対応が完了しており、規制はすべてクリア しています。 このような特徴を有した省伝熱フィルムの応用範囲は非常に広く、これまでの熱源体では使用が考えられなかった分野への応用が期待 されています。
半導体発熱素子。それは全く新しい熱源体。
高い安全性と圧倒的な省電力
半導体発熱素子は、他の熱源体とは異なり、発熱時に自己発火しないことが認められています(※)。
そのため、例えば電気毛布に組み込んだ素材が燃えてしまい、事故につながるというようなことは起こりえず、安全性の高い素材であるといえます。また半導体発熱素子は、設定温度を自己管理する特性を持っており、周辺温度(外温)と事故発熱温度との差をフィルム自身が管理し、同時に、放熱により変化する周辺温度を感知して、常に一定温度差をキープすることができます。これは過昇温防止機能と呼ばれ半導体発熱素子ならではの機能です。
また、半導体発熱素子は、他の熱源体と比較しても圧倒的な省電力を実現しています。その能力は、ニクロム線などの従来品と比較した場合、約5分の1にまで削減することが可能です。応用製品の可能性は非常に広く、例えば、冬に最適なホット手袋や膝掛け毛布などの簡単な暖房グッズなら、たった単三電池2本(3V)で作ることができます。また、通常は大量の電力を消費してしまう床暖房でさえ、その消費電力を約10分の1にまで削減することができます。さらには突入電力がないため、製品化した際の消費電力設計に非常に有効です。
※ 社会法人日本鉄道車両機械技術協会による鉄道車両用材料燃焼試験をクリアしています。( 試験番号: 車材燃試15-259K)
高い耐久性
PTCやニクロム線などで懸念される”発熱性劣化”についても、半導体発熱素子ならまったく心配いりません。なぜなら、素材である半導体は半永久的に使用が可能であり、経年劣化しないという特徴を有しているためです。
電磁波ゼロ
半導体発熱素子は、発熱時に電磁波を出さない(※)という特徴を有しています。そのため、近年問題視されている電磁波の人体への影響について、優位性を保持しているといえます。 ※ 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター(試験番号:15産技術(技評)子第28号)
地球環境保護への貢献
半導体発熱素子を、あらゆる製品に組み込んだ際に見られるコスト削減効果はもちろん、半導体発熱素子が有する特性は、小さなエネルギーで大きな効果を生み、不燃性を有し、高い耐久性を兼ね備えているという点で、「環境配慮型の素材」といえます。商品開発において、ますます重要視される地球環境保護の観点からも、高い付加価値を有しているといえます。